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サイトメガロウイルス ~角膜内皮炎 2022年6月公開

角膜内皮炎の報告は1982年Khodadoustに遡る。当初は自己免疫説が提唱されたが、その後、ウイルス感染説が主流となった。単純ヘルペスウイルスが原因の一つとされていたが、実質炎や上皮炎の既往・合併のない純粋な内皮炎の主要な起因ウイルスは長らく不明であった。しかし、2006年に小泉範子らによってサイトメガロウイルス(CMV)が原因である可能性が報告されたのを皮切りに、日本を中心に多くの続報があり、ひとつの疾患単位として確立された。典型的な眼所見はコイン・リージョン(環状に配列する角膜後面沈着物様所見)や拒絶反応線様の角膜後面沈着物を伴う周辺部角膜浮腫である。日本から発信された疾患といえる点で、日本眼感染症学会の歴史のなかで重要な位置を占めるといえる。健康な中高年男性に好発する点で、CMV感染=免疫不全という常識を覆したこともユニークである。しかし、その病態生理や適正治療については今後の検討が必要である。(井上幸次)


提供 中川 尚

日本眼感染症学会

Japanese Association for Ocular Infection

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