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理事長挨拶

理事長に就任して

理事長 江口 洋(近畿大学)

 この度、日本眼感染症学会の理事長を拝命しました近畿大学の江口洋です。会員の皆様には、本学会の発展にご協力いただき感謝申し上げます。本学会は、1964年の日本臨床眼科学会におけるグループディスカッションに端を発し、1985年には学会組織に移行しました。2024年には設立60年を迎える歴史ある本学会の理事長に選出されたことは、光栄であると同時に大変身の引き締まる思いです。

 昨今、感染症というと2020年初頭に新型コロナウイルス感染症の世界的流行で世の中が一変したことが思い浮かぶと思います。2022年7月現在も、その影響は世界中に色濃く残っています。思い起こせば2009年にも新型インフルエンザの世界的流行があり、マスコミ報道を介した憶測での人権侵害のような事案がありました。昨今はSNSの普及もあってか、2009年時の何倍もの情報が瞬時に飛び交い、同様の事案が多数発生し医療現場も混乱しました。そんな殺伐とした状況では、新興感染症でも最新の医療ですぐに制御できるはずだ、と思いたくなります。ところが専門家の推奨する感染対策が、マスク・手洗い・人との距離を保つこと、と言われると旧態依然としているように感じ、感染症分野は進歩していないと思った人もいるかもしれません。感染症を上手に管理するためには、薬剤や医療行為で微生物を制御しようという考え方ではなく、微生物との共存を図る考え方が必要です。そのための科学的根拠を世界中の感染症専門家が多数蓄積することで、実は感染症分野は目覚ましい進歩を遂げてきました。その蓄積された情報の中から眼科診療に有益なものを選別し、会員の皆様や一般の方に供与することも本学会の使命の一つと考えています。

 眼感染症に目を向けますと、我が国の眼科診療に必要な考え方に「ワンヘルス」と「抗菌点眼薬の適正使用」があると言えます。前者は、人と動物と環境は生態系の中で密接に関わりのある一つのものという考え方です。人獣共通感染症は世界中の感染症の多くを占めており、外界に露出している眼球は環境や外来生物による汚染を常に受けています。環境には未知の微生物が多数存在し、まるで亜熱帯化しているかのような我が国で新たな眼感染症が発生する可能性もあると考えています。後者ですが、我が国では必須ではない場面でも抗菌薬が処方される傾向があり問題となっています。眼科診療においては、今ある抗菌点眼薬が子や孫の世代でも安心して使えるかどうかは、今一人一人が抗菌点眼薬の適正使用を実践するかどうかにかかっていると言っても過言ではありません。抗菌点眼薬の使い分け、および不要な場合は使わないことが求められています。いずれについても、本学会から何らかの情報発信をしたいと考えています。

 冒頭にも書きましたが、本学会は2年後に設立60年を迎えます。これまで本学会の発展に尽力された諸先輩がたの功績を再認識しつつ次世代を育むための活動を推進し、我が国の眼感染症分野の発展に少しでも貢献できるよう精進して参ります。どうかご指導、ご鞭撻のほどよろしくお願い申し上げます。

日本眼感染症学会

Japanese Association for Ocular Infection

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