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単純ヘルペスウイルス ~上皮型角膜ヘルペス 2021年5月公開

 単純ヘルペスウイルスは、ヘルペスウイルス科の代表的ウイルスで、初感染成立後は三叉神経節に潜伏、様々な誘因のもとで再活性化して回帰性の樹枝状角膜炎を起こす。Terminalbulb(病変先端の膨大部)を有することが大きな特徴で、角膜知覚の低下とともに診断的価値がある。遷延化すると地図状角膜炎を呈する。上皮型ヘルペスは古くは良性の疾患とされたが、ステロイド点眼薬の臨床導入以後、炎症が遷延化とともに実質型ヘルペスへの移行例が急増し、治療は困難を極めた。1962年以降、世界初の抗ウイルス化学療法剤であるIDU点眼が臨床使用されたが、不十分な角膜移行、強い細胞毒性などが壁となって期待ほどの効果は得られなかった。アシクロビル眼軟膏の導入後、上皮型病変は速やかに治癒するようになり、実質型への移行例も激減した。(大橋裕一)

檜垣史郎先生 ご提供

提供 中川 尚

 

日本眼感染症学会

Japanese Association for Ocular Infection

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