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Toxoplasma gondii ~眼トキソプラズマ症 2021年4月公開

 寄生性原生生物であるToxoplasma gondiiはシストあるいはオーシストの形で経口摂取された後、腸管壁より侵入し、眼トキソプラズマ症を起こす。以前より減少傾向にはあるが、現在も重要なぶどう膜網膜炎のひとつで、浸淫地域以外でも散発的にみられる。ネコ科の動物が終宿主であり、その他の哺乳類や鳥類は中間宿主となる。妊娠初期の感染による先天感染と、未調理の肉類等由来の後天感染がある。眼底に黄白色の限局性、孤立性網膜脈絡膜病変を形成し、蛍光眼底造影では病巣中央の低蛍光と周囲の輪状過蛍光を特徴とする。再発例では先天、後天感染を問わず、瘢痕病巣の辺縁あるいは近傍に新たな病巣を形成する。抗トキソプラズマ薬による治療に比較的よく反応し、病巣は萎縮瘢痕化していくが、不用意なステロイド単独療法の影響やAIDSに伴って発症する重症例をみることがある。(後藤浩)

 

提供 後藤 浩

日本眼感染症学会

Japanese Association for Ocular Infection

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