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 これは、「人食いバクテリア」などと称されるStreptococcus pyogenesのグラム染色像で、多核白血球と連鎖するグラム陽性球菌が確認できます。検体は、眼窩蜂窩織炎として紹介された80代女性の溶けた角膜です。受診時に皮膚膿瘍、副鼻腔膿瘍があり、それら膿瘍、血液培養、および尿培養からも同じ菌が分離されました。十分量の抗菌薬の全身投与、局所投与をしていましたが、眼球形態維持目的で治療的角膜移植を施行した1週間後に、移植片は全て溶けてしまいました。


 これは、アカントアメーバの嚢子(シスト)のファンギフローラY染色像です。二重壁構造がきれいに写っています。

 これは、コンタクトレンズ装用歴のある20代男性が眼痛と視力低下を訴えて近医を受診し、感染性角膜炎を疑われ紹介されてきた時の写真です。上のシストは、この症例の角膜擦過物の染色像です。向かって左上と下の輪部に角膜浸潤がありますが、それらが無い部分も含め全周性に強い毛様充血があります。角膜上皮は全面浸潤のため不正で、視力は(0.5)でした。

 本症例では、角膜擦過物の塗抹検鏡でアカントアメーバ角膜炎の早期診断がつき、クロルヘキシジン点眼による治療2週間で、下のように綺麗に治癒しました。
適用外使用ゆえ各施設の倫理審査での承認が必要です。

 これは、アカントアメーバの栄養体(トロフォゾイト)の位相差顕微鏡像です。PYG液体培地で培養し観察しています<N-N寒天培地上の栄養体の像はこちら>。まるで鯉のぼりの目のような、円形の収縮胞とよばれる構造物があり、じっと観察していると、鯉のぼりがパチッと瞬きをしたように収縮胞がなくなる瞬間があります。体の周りに毛が生えているように見えるのは、棘状突起とよばれる仮足で、この突起を動かして細菌や真菌を捕食すると言われています。<栄養体のパラパラムービーはこちら


 これは、Fusariumという糸状菌のポテトデキストロース培地接種7日後の巨大コロニー像です。角膜真菌症の角膜擦過物から分離しました。真菌は培養条件の違いによってコロニーの形態が変化するため、この巨大コロニー像だけでFusariumと断言はできませんが、少なくとも、糸状菌であることはわかります。スライドカルチャーをすると、三日月形の大型の分生子を観察することができ、Fusarium属とわかります。<Fusariumのスライドカルチャー像はこちら)

 これは、野菜の収穫作業中に目に何かが入ったことを自覚していた農家の方が、数日後に眼痛で近医を受診、2種類の点眼薬で治療を開始したものの改善せずに紹介されてきた時の写真です。問診で生活歴を丁寧に聴取し、角膜擦過物の塗抹検鏡をすることで角膜真菌症との早期診断に至ります。この症例では、角膜擦過物から、上のスライドカルチャー像のFusariumを分離しました。<この症例の角膜擦過物のファンギフローラY染色像分離株のスライドカルチャー像はこちら

 

これは、別の角膜真菌症の角膜から分離した真菌のコロニー染色像(ラクトフェノールコットンブルー染色)です。この写真で、分生子(タンポポの綿毛のような形状の部分)の構造がAspergillusに特徴的な所見(アスペルジラ)ゆえ、この時点でAspergillus角膜炎と診断できます。焦点が合っていないのでややわかりにくいですが、分生子柄(タンポポの茎に相当する部分)の表面がザラっとした粗な感じであることから、種はA. flavusと推察できます。


 この図は、下の写真の症例(涙小管炎)から採取した眼脂のグラム染色像です。眼脂には白色の涙石が絡んでおり、涙管通水をすると小さな涙石が複数逆流してきました。その涙石を潰して染色すると、ご覧のように細長いグラム陽性桿菌を無数に観察できます。グラム陽性球菌も混在しています。眼脂培養でActinomycesPeptostreptococcusが分離されました。塗抹像では、Staphylococcus属も居るように見えます。涙道感染症の分泌物の塗抹検鏡像では、複数の微生物が混在していることがよくあります。

 この写真は、涙小管炎の症例のものです。数種類の抗菌点眼薬を1ヶ月以上使用するも眼脂と充血が治らないとのことで紹介されました。下涙点周囲の発赤と腫脹、および眼脂が著明です。抗菌点眼薬を2週間以上使用しても治癒しない眼脂や充血がある場合は、耐性菌感染症か、あるいは涙道疾患を疑う必要があります。診断には眼脂の塗抹検鏡や培養、および涙管通水が有用です。耐性菌感染症の場合は、単一の微生物が検出される可能性が高いので、塗抹検鏡や培養で複数の微生物の存在が確認できた場合は、涙道感染症を強く疑います。

 この図は、眼内炎症例の硝子体から分離された黄色ブドウ球菌を、羊血液寒天培地に画線培養したものです。検査部から供与してもらいました。検査部と連携を図れば貴重な起炎株を入手でき、厳密な診断や今後の研究に有用です。なお起炎株の取り扱いについては、厚生労働省の「感染症法に基づく特定病原体等の管理規則について」を参考に、各施設の検査部や連携検査機関と相談のもと、自己責任で行ってください。

https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite
/bunya/kenkou_iryou/kekkaku-kansenshou17/03.html

 この図は、硝子体手術5日後に発症したメチシリン耐性表皮ブドウ球菌(MRSE)による眼内炎の写真です。通常、表皮ブドウ球菌は感染症の起炎菌にはなりにくいですが、眼表面に多量に定着している状態で内眼手術をすれば急性眼内炎を起こし得ます。本症例は、術前数ヶ月に渡ってキノロン点眼薬を処方され継続使用していました。

 この図は、別の術後MRSE眼内炎症例の硝子体のグラム染色像です。驚くほど多量のグラム陽性球菌を認め、まるで菌の培養液の染色像のようです。本症例は、キノロン点眼薬を過去5年に渡って断続的に処方されていました。キノロン点眼薬の長期投与の結果、キノロン耐性でもあったMRSEが眼表面で異常に増殖していたと思われます。それでも本来は弱毒な表皮ブドウ球菌ゆえ、眼表面で特に炎症を惹起することがなかったものの、手術時にあまりに多量に眼内に接種され眼内炎を発症したと推察されます。この症例は、発症日に緊急手術を施行し失明を免れましたが、最終視力は(0.1)未満となり後遺症を残しました。

日本眼感染症学会

Japanese Association for Ocular Infection

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